「ゆとり世代は自ら考えない」と言われます。学生自身も「自分の考えがなくて、つい周囲に影響されてしまう」ことに問題意識を持っています。ほんとうに、「考えていない」のでしょうか?どうすれば、自分らしい考えを持ち、周囲に伝えることができるようになるのでしょうか?
「キャリア形成支援講座」では、セルフリーダーシップという考え方のもとで、自分で自分の人生をリードする力を磨きました。具体的には、ゲームや新しい手法による話し合いなどを通じて、「考える機会」「話し合う機会」をたくさん経験しました。自分が学ぶだけでなく、自分の言動が他の学生の学びを刺激したり、学びを支え合うことを体験し、自信を高めていくのです。「同じキャンパスにこんなにも考え方の違う仲間がいるんだ」「自分の中にも自分なりの考えがあることがわかって嬉しかった」といった経験は、今後の大学生活を支えになることと思います。
大人になること、社会に出ることに対してイメージがわかない受講生にとって、この講座のハイライトは、何と言っても、最後の合宿でした。1日目は、仕事を存分に楽しみながら生きているかっこいい社会人とたくさん出会い、質問を重ねながら、自分の10年後をイメージしていきました。2日目は、自分が抱える問題を仲間からの質問を通して、何がほんとうに問題なのかを探るという「質問会議」に取り組みました。自分の問題と客観的に向かい合うことや、仲間の問題に共感したりという経験は、これからさまざまな問題に直面したときに解決するための大きなヒントになったと思います。受講生はたった2日ですが大きく成長しました。ハードなスケジュールだったにも関わらず、もう1回合宿がしたい、もっと長くやりたかったという声がたくさんありました。
コミュニケーション力を高めるには、多様な人と真剣に関わる経験をたくさん積むことが大切です。小手先の技術ではなく、生き方そのものがコミュニケーションや態度に反映されるからです。講座の回を重ねる毎に、表情が生き生きしてきた人、自然な笑顔が出るようになった人、声が大きくなった人が増えていきました。これからは、キャンパスでまた地域で、そうしたポジティブな姿勢で多くの人に働きかけていって欲しいと願っています。自分自身に働きかけ、隣の人に働きかける、そんな小さな一歩から、素敵なリーダーになって欲しいと思います。
(松田 美幸)
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