ステップアッププログラム

第8回「今を生きる教養講演会」を開催しました。



 平成22年9月29日、本学A棟AB01番教室で福大生ステップアッププログラム 第8回「今を生きる教養講演会」を開催しました。
 今回は元国連事務次長の明石康氏を講師にお迎えし、「国際社会で働くということ」と題してご講演いただきました。

  まず、日本が人口減少社会に突入していること、人口が大幅に減少すると国の活力が失われていくという話題から始まりました。その打開策として、@女性の地位向上や女性の更なる社会進出、A若者が夢や希望を持ち、働ける社会の確立、B労働意欲のある高齢者が働くことができる環境の整備、C育成型移民政策の実行等が考えられると提案されました。
 続いて、今の若者は、以前に比べて海外に行くことが減ってきているようであるが、異なる文化をもつ相手の話に耳を傾け、自分と違う国の伝統、文化、歴史、芸術を知ることで、自らの視野も広がり、考え方も変わり、自国の伝統や文化を再認識することで、自己(アイデンティティ)も確立することができる。また、異なる文化をもつ相手は自分と違っていて当然であるという前提で付き合うことで、似た所を見付けると喜びとなるというお話をなされました。
 さらに、「初めから天職を知っている人はいない。人生は知的な道草である。その職が自分に合っているのか、好きか嫌いかというのは道草を食うことによって、自ずと分かってくる。」この言葉は、就職活動中の学生はもとより、これから人生を歩んでいく学生達にとって、励ましの言葉として心に響いたようでした。
 また、日本人は、外国語に対して、完璧主義なところがあり、自らの英語を恥ずかしいと思っている人が多いようだが、英語とは、コミュニケーションのツールであり、重要なのは、話の内容、中味であるとのお話でした。国連でも、「お国なまりの」英語を使って議論が進められるといいます。つまり、言葉の意味を理解してもらえる程度の英語である必要はあるが、下手でも熱意が大切であるというお話をなさいました。
 最後に、国連事務次長というお立場で仕事をされた明石氏が、歴代の事務総長をご覧になってきた上で、「国際社会で働く人」の交渉術の特長を述べられました。
 @人の話を良く聴いている。
 A雄弁ではないが、論理的に話ができる。
 B自分の言葉を吟味しながら話している。
 まずは、人の話を良く聴くこと、「グッドリスナー」となることが強調され、自ら言葉を発する時は、きちんとしたメッセージのある言葉が大切であると話され、参加した学生達に強い印象を与えてくださいました。

 会場の学生からは、「開発途上国と先進国の格差是正について」の質問が出ました。明石氏からは、低成長期の日本であるが、経済的援助はもちろん、開発途上国の人材育成、つまり技術支援に尽力すべきであるとの回答されました。
 講演後、学生を代表して経済学部(4年次生)の岩崎円花(イワサキ マドカ)さんが感謝の花束を贈りました。会場は学生、教職員に加え市民の方々も参加され、約490人が明石氏の話に耳を傾け、盛況のうちに教養講演会を終了しました。

「第8回今を生きる教養講演会
明石 康氏 講演会)ポスター」pdf

 

 
たくさんの学生が明石氏の話に真剣に耳を傾けました

立見が出る程の盛況ぶり

短い時間でしたが、質疑応答の時間も設けられました

講演後に花束を受け取り、盛大な拍手を受ける明石氏


衛藤学長とともに
 
世界を舞台に活躍されている方のお話を聞く事が出来て、今後の自分の将来を考える上で参考になりました。また、今ある社会的問題について再認識させられました。こういう機会を、もっと増やして欲しいと思います。
若者が夢を持てる社会を造り出すのが先人の役目であるとのお話でしたが、その夢を真剣に全力を持って探すのが若者の役目ではないかと思いました。就職活動、もう一度、立ち上がってみようと思えました。
明石康さんのお話、たくさんジョークが散りばめられていて面白く、また自身のお考えを聞けて凄く良かったです。また、国際社会についても色々とお話していただけたので、充実した講演会でした。もっと長い時間お話を聞きたかったです。
 
 



第1回
2006年
7月
6日
  小坂 憲次 氏(当時:文部科学大臣) 
「新しい時代を切り拓く君たちへ−人間力の向上にむけて−」
第2回
2006年
11月
24日
  林 望 氏(作家・書誌学者)「知性の磨きかた」
第3回
2007年
7月
4日
  山根 基世 氏(元NHKアナウンス室長)「ことばで『私』を育てる」
第4回
2007年
12月
18日
  金田一 秀穂 氏(国語学者・杏林大学外国語学部教授)「心地よい日本語」
第5回
2008年
6月
3日
  北野 大 氏(化学者・明治大学理工学部教授)「環境問題入門」
第6回
2008年
11月
17日
  北城 恪太郎 氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 最高顧問)
「これからの社会で求められる人材」
第7回
2009年
5月
25日
  草野 仁氏(TVキャスター)「いつもチャレンジ精神で」


FSP 2-2 今を生きる教養講演会  

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