まず、日本が人口減少社会に突入していること、人口が大幅に減少すると国の活力が失われていくという話題から始まりました。その打開策として、@女性の地位向上や女性の更なる社会進出、A若者が夢や希望を持ち、働ける社会の確立、B労働意欲のある高齢者が働くことができる環境の整備、C育成型移民政策の実行等が考えられると提案されました。
続いて、今の若者は、以前に比べて海外に行くことが減ってきているようであるが、異なる文化をもつ相手の話に耳を傾け、自分と違う国の伝統、文化、歴史、芸術を知ることで、自らの視野も広がり、考え方も変わり、自国の伝統や文化を再認識することで、自己(アイデンティティ)も確立することができる。また、異なる文化をもつ相手は自分と違っていて当然であるという前提で付き合うことで、似た所を見付けると喜びとなるというお話をなされました。
さらに、「初めから天職を知っている人はいない。人生は知的な道草である。その職が自分に合っているのか、好きか嫌いかというのは道草を食うことによって、自ずと分かってくる。」この言葉は、就職活動中の学生はもとより、これから人生を歩んでいく学生達にとって、励ましの言葉として心に響いたようでした。
また、日本人は、外国語に対して、完璧主義なところがあり、自らの英語を恥ずかしいと思っている人が多いようだが、英語とは、コミュニケーションのツールであり、重要なのは、話の内容、中味であるとのお話でした。国連でも、「お国なまりの」英語を使って議論が進められるといいます。つまり、言葉の意味を理解してもらえる程度の英語である必要はあるが、下手でも熱意が大切であるというお話をなさいました。
最後に、国連事務次長というお立場で仕事をされた明石氏が、歴代の事務総長をご覧になってきた上で、「国際社会で働く人」の交渉術の特長を述べられました。
@人の話を良く聴いている。
A雄弁ではないが、論理的に話ができる。
B自分の言葉を吟味しながら話している。
まずは、人の話を良く聴くこと、「グッドリスナー」となることが強調され、自ら言葉を発する時は、きちんとしたメッセージのある言葉が大切であると話され、参加した学生達に強い印象を与えてくださいました。
会場の学生からは、「開発途上国と先進国の格差是正について」の質問が出ました。明石氏からは、低成長期の日本であるが、経済的援助はもちろん、開発途上国の人材育成、つまり技術支援に尽力すべきであるとの回答されました。
講演後、学生を代表して経済学部(4年次生)の岩崎円花(イワサキ マドカ)さんが感謝の花束を贈りました。会場は学生、教職員に加え市民の方々も参加され、約490人が明石氏の話に耳を傾け、盛況のうちに教養講演会を終了しました。
「第8回今を生きる教養講演会
(明石 康氏 講演会)ポスター」pdf |
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