第9回「今を生きる教養講演会」を開催しました。
 
 
 平成23年5月31日、本学8号館831教室で福大生ステップアッププログラム 第9回「今を生きる教養講演会」を、NHK福岡放送局との共催で「NHK大学セミナー」として開催しました。
 

 今回は登山家の田部井淳子氏を講師にお迎えし、「世界の山々をめざして ― あきらめずに夢を実現させる ―」と題してご講演いただきました。
 まず始めに、福島県出身の田部井氏から地震、津波、それと風評により被災地は大変な状況であることが伝えられました。ご自身も所有ロッジの破損を修復し、被災者を受け入れていること、被災者からの「何もすることがないことが一番つらい」という声を受けて、ハイキングを呼び掛け、これから長期間実施する支援活動等について話されました。
 次に女性世界初の世界7大陸最高峰登頂者と紹介をされるが、それがどこにあるのか質問されることが多いということで7大陸の山々について簡単な紹介がありました。その中の一つ南極大陸最高峰ビンソンマシフについては、一般人でも南極登山ができることを雑誌で知り、あまりの高額な登山費用に驚きながらも夢を実現するためにコツコツと貯金などをして、5年後に実現。登頂に至るまでの経緯や、南極の自然について興味深いお話しをしていただきました。
 現在71歳の田部井氏は、ご自身が平均寿命まで生きたと仮定して、お金や物ではなく、毎日の生活の積み重ねである満足した自分史を残せるようにしたいと考えているということです。今は世界各国の最高峰に登頂することを目指しており、先週登頂したアイスランドの山を含むと現在60カ国を達成。ご自身の年齢が平均寿命に到達するまでの登山計画を持ち、予定と行動が一致するように生きていきたいということでした。
 年間110日程度を世界の山で、年間50日程度を日本の山で過ごしている田部井氏ではありますが、残りの200日の日常生活も楽しみたいと、仲間とシャンソンを習い、1年半後にはリサイタルを開催し、さらに今年の2月には故郷福島でもリサイタルを開催したとのこと。
 さらには楽器が弾いてみたいとピアノを習い、日本人なら日本の伝統芸能をと謡曲を始めるなど、山登りだけでなく、さまざまなことに積極的に挑戦する姿がとても魅力的でした。
 最後に、1975年にエベレストにネパール側から登頂された際の写真がスライド上映され、24年後に再度訪れた際の写真と比較して氷河や登山マナーなど環境の変化を示され大変興味深いものでした。
 講演後、学生を代表して登山部で理学部物理科学科の大橋 芳幸(オオハシ ヨシユキ)さんが感謝の花束を贈りました。会場は学生、教職員に加え市民の方々も多数参加され、約500人が田部井氏の話に耳を傾け、盛況のうちに教養講演会を終了しました。

  たくさんの学生と市民の方が真剣に耳を傾けました

質疑応答の時間も設けられました

講演後に山岳部の学生から花束が贈呈されました

衛藤学長とともに

「第9回今を生きる教養講演会
(田部井 淳子氏 講演会)ポスター」pdf

 
田部井先生は明るく、とても魅力的な方でした。印象に残った言葉は、「毎日を楽しくやる、まずやってみる、やってダメなら変えてみる、そして物を大切にすること」です。
今日の講演会を聴いて本当に人は頑張れば何でもできるんだと思いました。先生の話を聞いて、自分も山に登ってキレイな風景を見てみたいと思いました。まだまだこれから人生は長いので、自分も1回はエベレストに行きたいと思います。
 


第1回
2006年
7月
6日
  小坂 憲次 氏(当時:文部科学大臣) 
「新しい時代を切り拓く君たちへ−人間力の向上にむけて−」
第2回
2006年
11月
24日
  林 望 氏(作家・書誌学者)「知性の磨きかた」
第3回
2007年
7月
4日
  山根 基世 氏(元NHKアナウンス室長)「ことばで『私』を育てる」
第4回
2007年
12月
18日
  金田一 秀穂 氏(国語学者・杏林大学外国語学部教授)「心地よい日本語」
第5回
2008年
6月
3日
  北野 大 氏(化学者・明治大学理工学部教授)「環境問題入門」
第6回
2008年
11月
17日
  北城 恪太郎 氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 最高顧問)
「これからの社会で求められる人材」
第7回
2009年
5月
25日
  草野 仁 氏(TVキャスター)「いつもチャレンジ精神で」
第8回
2010年
9月
29日
  明石 康 氏(元国連事務次長)「国際社会で働くということ」


今を生きる教養講演会