平成25年12月2日、本学8号館831教室で福大生ステップアッププログラム 第12回「今を生きる教養講演会」を開催しました。
今回は法政大学教授の山本 浩 氏を講師にお迎えし、「2020 TOKYO 開催を決めた『伝える力』」と題してご講演いただきました。
はじめに、2020年オリンピック招致に成功した東京の勝因について、様々な切り口から軽妙にお話しいただきました。具体的には、治安が安定し、高い運営能力を持った優れた都市であるという都市の魅力や、日本と関係のある国際オリンピック委員との個別の交渉、国際オリンピック委員会総会でのプレゼンテーションが勝因として挙げられました。
次に、オリンピック開催地決定に関する世論と国際オリンピック委員との関心の違いについて、世論は開催候補地での反政府運動や失業率、その国で起こった紛争などに関心を持ったのに対し、国際オリンピック委員はどの開催候補地が優れた運営能力を持っているか、手際良くオリンピックが開催できるかにのみ関心を持ったとのお話がありました。しかし、どちらも福島県の放射能による汚染水問題について関心を持った点だけは共通していたとのことでした。
また、オリンピック開催競技を決定する際に国際オリンピック委員会から国際競技連盟に送られる質問が、2008年は各スポーツの歴史や発展を問うものであったが、2012年には各スポーツとオリンピックの関係を問うものに変わり、このことから国際オリンピック委員会がスポーツに求めるものが変化していることが分かるとのお話がありました。それに関連して、スポーツの魅力に日本・アメリカ・ドイツでそれぞれ違いがあることもお話しいただきました。
最後に、オシム元サッカー日本代表監督の代表選手の選び方を例にして、優れた指導者像や『伝える力』の多様性などについてお話しいただきました。その際、言葉を使わないオシム式の伝え方が話題となったことを、山本氏が「オシム教の信者が増えた」と表現されたことは、実に興味深いものでした。
講演後、学生を代表してスポーツ科学部スポーツ科学科の本庄彩雅(ホンジョウ アヤカ)さんが感謝の花束を贈りました。会場は本学学生、教職員に加え一般市民の方々も多数参加され、500人を超える聴衆が山本先生の話に耳を傾けました。山本先生のご厚意でサイン会も開かれ、盛況のうちに教養講演会を終了しました。
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