「豊かな人間性」へのステップ 今を生きる教養講演会
2016.07.08
第16回「今を生きる教養講演会」を開催しました。
平成28年5月26日、本学8号館831教室で福大生ステップアッププログラム 第16回「今を生きる教養講演会」を開催しました。
今回は戦場カメラマンの渡部陽一氏を講師にお迎えし、「世界からのメッセージ~希望ある明日のために~」と題してご講演いただきました。
山口学長からの挨拶の後、戦場カメラマンとして撮影された写真や映像が上映され、会場が独特の世界に包まれたところで、渡部氏が登場しました。
渡部氏は、おなじみの黒いシャツとベスト、ベレー帽の戦場カメラマンスタイルに身を包み、「こ、ん、に、ち、は」とテレビで拝見するようなゆっくりとした口調で挨拶され、講演会が始まりました。
講演では、「どうして戦場カメラマンという仕事に就いたのか?」「どうして戦争が起きるのか?」について演劇のように身振り手振りを交えながら、分かりやすくお話しいただきました。
「どうして戦場カメラマンという仕事に就いたのか?」
渡部氏は、大学生だった20歳の時、少数民族ピグミー族に会うためにアフリカのジャングルへ飛び立たれました。そこで見たものは、血だらけで戦う少年兵でした。泣きながら、「助けてください」と渡部氏の服をひっぱる少年兵に対して、当時の自分は何もできなかった、と渡部氏は述べられました。この悲惨な状況を目の当たりにして、自分にできることは写真を使ってこの現実を世界に伝えることだと考え、戦場カメラマンになることを決意したとのことでした。
「どうして戦争が起きるのか?」
戦争の要因は、民族、宗教、領土、国境、環境など様々ですが、近年の戦争の一番大きな要因は、“石油”だと言われました。そのため、たくさんの石油が埋まっている中東を巡って戦争が起こっていると渡部氏は説明されました。
見たくない人は目を覆ってください、という前置きをされた後に、戦争により傷ついた子どもたちの写真をスクリーンに映し、戦争の悲惨さを訴えました。「戦争の犠牲者はいつも子どもである」と何度も繰り返された渡部氏の言葉が印象に残るものでした。
また、ノーベル平和賞を受賞されたマララ・ユスフザイさんの行動や国連でのメッセージを例に、争いを止めるのは教育であると話されました。
質疑応答では、本学学生から、海外で“すごい”と感じた人について質問があり、耳が不自由な子供を海外で治療を受けさせるために自分の命を差し出した中東イラクで出会った若いお父さんを、心が揺さぶられた人物として挙げられました。また、渡部氏の夢についての質問では、夢は世界中から戦争がなくなり、世界中の子どもたちの笑顔を届ける「学校カメラマン」になることだとお話しされました。
最後に、学生を代表して商学部経営学科の棚原麻未さんが感謝の花束を贈りました。渡部氏の温かい人柄と、戦争をなくしたい、戦争の犠牲となっている子どもたちを救いたいという熱意が伝わる講演会となり、本学学生、教職員に加え一般市民の方々も多数参加され、盛況のうちに終了しました。